優待クロス 投資

優待クロスの始め方|263回やった私の手順・コスト・注意点

公開日:2026年9月15日 / 最終更新日:2026年10月25日

優待クロスは、株主優待を「株価が下がるリスクをほぼ取らずに」もらう手法です。私は2024年3月に始めて、2025年6月までに通算263回・優待価値約73万円分を取得しました(2025年は年間で実質+298,869円)。

この記事は、これから始める方向けに「準備」「注文の手順」「コストの計算」「逆日歩の避け方」「配当まわりの落とし穴」を、私が実際にやって失敗したことも含めてまとめた入門ガイドです。263回の全記録はこちらの記事にあります。

優待クロスとは?仕組みを1分で

株主優待をもらうには「権利確定日」に株を持っている必要がありますが、普通に買うと権利落ち日に株価が下がるリスクがあります。そこで、同じ株を「現物で買う」と同時に「信用で売る」ことで、株価が上がっても下がっても損益が相殺されるようにしておき、権利日を通過してから現物を信用売りに渡して(現渡し)決済します。

これで、株価変動の影響をほぼ受けずに優待だけを受け取れます。かかるのは信用取引の金利・貸株料・逆日歩(後述)などのコストだけです。

準備:必要なもの

準備内容
証券口座私はSMBC日興証券(制度信用の主戦場)と楽天証券(一般信用の保険用)の2社を使っています
信用取引口座証券口座とは別に開設が必要。1年間使わないと閉鎖されるので注意(私は一度閉鎖通知をもらいました)
保証金30万円以上を入金し、預り金から保証金へ振替。30万円で約3.3倍(約100万円)まで取引可能。売りは信用取引でも、買いは現物なので、現物を買う分の現金が必要です
配当金の受取方法「株式数比例配分方式」に変更しておく(理由は後述。銀行振込のままだと損します)

私も最初は「30万円あればクロスできる」と勘違いしていました。買いは現物なので、現物を買う分の現金が必要です。ただし、買った現物はそのまま保証金の代わり(代用有価証券)になるので、たとえば40万円の銘柄をクロスするなら、保証金込みで現金40万円あれば足ります。

保証金には保有株も8掛けで算入されますが、株価下落で最低額を割ると追証が発生します。資金には余裕を持たせておくのが安全です。

手順:いつ何をするか(SMBC日興証券の場合)

タイミングやること
権利確定日の3日前(N-3)までクロス注文を出す(信用売り+現物買い、または信用買い)
権利付最終日(N-2)の15時までクロスを完了させる。信用買いにした場合は9〜15時に現引き
権利付最終日(N-2)の17時以降現渡し注文を出す(17時より前に現渡しすると優待の権利が取れません)
権利落ち日(N-1)現渡し完了。取引終了

注文の出し方

  • 信用売り:銘柄・株数を指定し、「制度信用」または「一般信用」を選ぶ。一般信用は在庫がないと注文できません(在庫は「取扱銘柄一覧」で確認)
  • 買い:現物買いでもよいですが、SMBC日興証券では信用買い→翌日現引きにすると現物買いの手数料(10万円以下で137円)を節約できます
  • 現渡し:「建玉一覧」→「現渡」→株数を指定。権利付最終日の17時以降に出すこと

現引きは午前中に済ませるのが鉄則です。また、権利日前後はシステムが混み、現渡しがエラーになったことがあります(翌日には解消しました)。

コストはいくら?実例で計算

初めてクロスしたSBIホールディングス(100株・約40万円拘束)の実績です。

項目金額
優待(XRP 2,000円相当)+2,000円
信用買い金利(1日分)−27円
信用売り金利(2日分)−51円
逆日歩−405円
実質利益+1,517円(資金効率0.37%/日)

2年目からは全銘柄のコストを「配当×0.15315 − 逆日歩」で記録しています(配当がある銘柄は制度信用の配当落調整金と税の差額がコストになるため)。2025年上半期は58銘柄・優待130,200円に対してコスト36,002円、実質+93,488円でした。

最大の敵「逆日歩」:制度信用と一般信用の違い

制度信用一般信用
逆日歩発生する(事前に確定できず、売るまで金額が分からない)発生しない
在庫基本的にある少ない。人気銘柄は権利日間際にはまず残っていない
配当落調整金配当の84.685%配当の100%
向いている使い方少額銘柄で数を打つ大型資金の銘柄の保険

逆日歩の目安はSMBC日興証券の「逆日歩予報値」、確定値は「日本証券金融(taisyaku.jp)」で確認できます。予報はあくまで目安で、外れることもあります。

手数料・金利・逆日歩まで全部込みの本当の損益は、証券会社の取引履歴CSVから計算できます。出し方は証券4社の取引履歴CSVの出し方にまとめています。

私が実際にくらった逆日歩ワースト5

銘柄時期損失敗因
エターナルホスピタリティ(3193)25年1月▲12,443円逆日歩3日×飲食銘柄
クスリのアオキ(3549)25年5月▲8,318円「過去数年安全」を過信
ギフトHD(9279)25年4月▲7,923円欲を出して600株
FRS(9423)25年3月▲3,602円1,000株の逆日歩直撃
アーバネット(3242)25年6月▲3,158円クオカード人気銘柄

共通点は「権利日をまたぐ休日で逆日歩日数が増える」「金券・飲食系の人気優待」「株数を欲張った」の3つ。この条件が重なる銘柄だけ一般信用で保険をかけ、残りは制度信用で数を打つのが、263回やった私の結論です。

配当まわりの落とし穴2つ

① 配当金の受取方法は「株式数比例配分方式」一択

クロスで権利日をまたぐと、現物からは税引後の配当を受け取り、信用売りでは配当落調整金を支払います。特定口座(源泉徴収あり)で配当を受け入れていれば、この2つは年末に自動で損益通算され、税金分が還付されます。

ところが配当を銀行振込で受け取っていると通算されません。私はSBIの配当13,000円のケースで、本来+1,587円になるはずが▲649円、差額2,236円(17.2%)の損になりました。詳細はこちら。

② 口座が「大赤字」に見えても慌てない

配当落調整金は権利日直後に引かれ、配当は1〜2か月後に入るため、途中経過では口座が真っ赤になります。私は−50万円超の表示を見て本気で焦りましたが、最終的には−3万円前後まで縮みました。仕組みは優待クロスの「大赤字」は本当?で解説しています。

私の銘柄選びのルール

2024年9月〜2026年9月の記録(約330回分)を見返して、今の私が守っているルールです。

  • 基本は制度信用。そのかわり、過去数年に逆日歩が出ていないかを必ずチェックする
  • 前日などに一般信用の売りが空いていたら、一般信用にする
  • 実際に使う優待か、モノが届く優待を選ぶ
  • 発行済株式数が多い銘柄を選ぶ
  • 飲食系は、わりと危ない
  • 記念優待などの特別優待には手を出さない(リスクがあるので)
  • 最初はクオカードには手を出さない(面白みがないので)
  • 豪華なデジタルギフトの優待には手を出さない。いわば「優待ホイホイ」で、豪華な優待で株価をつり上げたあと、優待を廃止して株価が暴落することがあります。優待が豪華すぎて、逆日歩が最大までつくこともざらです

優待の種類別の成績

優待の種類回数損益の合計赤字の回数
優待ポイント23回+88,820円0回
商品券31回+72,186円3回
鉄道の切符9回+58,514円0回
自社商品などのモノ15回+31,602円0回
カタログギフト10回+23,762円0回
お米5kg7回+19,729円0回
クオカード18回+3,425円4回
株主カード(割引カード)16回+1,818円6回

損益=優待の価値+配当まわりの差額−逆日歩(私の記録の計算方法)。株主カードは割引なので、優待の価値を0円として記録しています。

モノが届く優待(自社商品・カタログ・お米5kg)と切符は、41回やって赤字が0回でした。一方、クオカードは18回で合計3,425円、1回あたり200円弱で、赤字も4回ありました。

意外と安定しているのは百貨店の株主カード

高島屋や近鉄百貨店の株主カード(割引カード)は、逆日歩が毎回25〜330円に収まっています。

これは私の感覚ですが、クロスをする人には、百貨店のような割高なお店を使う人が少ないのではないかと思っています。そのぶん取り合いにならず、逆日歩が出にくいのかもしれません。

高島屋と近鉄百貨店の株主カードは、親に渡しています。クロスをしない親世代には、けっこう喜ばれます。

株主カードを家族など名義人以外が使えるかは、会社ごとにルールが違います。渡す前に各社の案内を確認してください。

赤字が大きかった銘柄

2025年7月以降に赤字になった銘柄のうち、大きかったものです。

銘柄権利月優待の価値逆日歩損益
フジオフードグループ本社(2752)2025年12月3,000円14,400円−11,354円
大黒天物産(2791)2026年5月2,000円9,510円−6,974円
ファースト住建(8917)2025年10月500円7,680円−6,843円
丸千代山岡家(3399)2026年1月1,200円8,550円−6,707円
カワチ薬品(2664)2026年3月4,120円10,500円−4,848円

どれも優待の価値の何倍もの逆日歩がついています。記録全体では赤字が31回あり、金額が大きかったものの多くは飲食系(フジオ、エターナルホスピタリティ、ギフト、丸千代山岡家、ココイチ、ハイデイ日高)でした。

実例:神戸物産(2025年10月)

資金が大きい銘柄の例として、神戸物産の1,000株です。

項目内容
株数・必要な資金1,000株・約374万円
優待ギフトカード15,000円分(長期保有の優遇で、10,000円→15,000円)
配当まわりの差額+3,982円(配当26,000円)
逆日歩−2,000円
損益+16,982円
優待の到着2026年4月23日

権利月から優待が届くまで、約半年かかりました。資金が大きいぶん、逆日歩が出たときの損も大きくなるので、下の「勝つための選び方」にあるとおり、一般信用での保険も考えたい銘柄です。

勝つための銘柄・月の選び方(263回からの教訓)

  • 銘柄数が多い月(3・6・12月)に厚く張る。クロス勢が分散して逆日歩が軽い。私の負け月はすべて1月・4月などの閑散月
  • 15日・20日権利の銘柄は警戒。資金の余ったクロス勢が殺到する(平和堂、アスクル、キングジムで学びました)
  • 大型資金の銘柄だけ一般信用で保険。神戸物産1,000株(約400万円)クラスは逆日歩の損失が桁違い
  • 配当金の受取方式は株式数比例配分方式に。始める前に必ず変更
  • 単月の負けは気にしない。逆日歩は確率のゲーム。2025年は負け月2つを含めて+298,869円

やってみて初めて知ったトラブル

  • 取引規制で現引きできない:権利付最終日に「取引規制中」で現引注文が通らず、クロス解除で損失。絶対に取りたい銘柄は数日前から動く
  • 現渡しがエラーで通らない:証券会社側の問題で翌日解消
  • 信用取引口座の閉鎖:1年使わないと閉鎖通知が来る。開設したら小さくてもいいので使う

▶ この記事はFIREロードマップの一部です:私がやってきた節約・ポイ活・投資・副業をやる順番で一覧化

優待クロスで私が実際にやらかした失敗(逆日歩・使い切れない優待)は、優待クロスの失敗談|使い切れない優待と逆日歩にまとめています。

私が実際に取った銘柄の結果(優待・逆日歩・損益)は、優待クロス実績データベースで権利月や銘柄名から検索できます。

実際に届いた優待の記事(写真つき)
・Jトラスト:デジタルギフト1万円(逆日歩0円)
・ジョイフル本田:茨城県産こしひかり5kg(長期3年)
・カゴメ:自社商品2,000円相当
・小林製薬:家庭用品(Bコースは抽選で外れ)
・システムインテグレータ:新潟県産コシヒカリ1kg
・ユナイテッドスーパー:羽二重餅(買物券は関東のみ)
・マツキヨココカラ:ポイント
・トランザクション:傘など

まとめ:まずは3月・6月・12月の少額銘柄から

  • 優待クロス=現物買い+信用売りで株価リスクを消し、権利日通過後に現渡し
  • 準備は「信用取引口座」「保証金30万円以上」「配当受取を株式数比例配分方式に」
  • コストは金利・貸株料・逆日歩。少額銘柄は制度信用で数を打ち、大型銘柄だけ一般信用で保険
  • 銘柄の多い月に厚く、15日・20日権利と人気金券系は慎重に
  • 途中の「大赤字」表示は仕組み上のもの。最終損益で判断する

正直、かけた時間と資金に対してリターンが劇的に大きいわけではありません。それでも、自分で銘柄を選び、結果が数字で返ってくる面白さは、サラリーマン生活では得がたいものです。月次の記録は「優待クロス」カテゴリで公開しているので、参考にしてみてください。

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※本記事は情報提供を目的としており、投資・金融商品の購入を勧誘するものではありません。最終的な判断はご自身の責任のもとで行ってください。

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