配当管理アプリで、自分の年間配当を見るとがっかりします。私の場合、純粋な配当は年25万円くらい。でも、資産の大半はオルカンやS&P500の投資信託で、これは配当(分配金)を出さないので、アプリには1円も出てきません。

ただ、オルカンの中に入っている会社は、ちゃんと配当を出しています。その配当は、ファンドの中で受け取られて、自動で再投資されているだけです。そこで、私が持っている投資信託の「見えない配当」を計算してみました。
結論:私の投資信託(約3,100万円)の見えない配当は、年37.7万円くらい。純粋な配当25万円と合わせると、実質の配当は年63万円くらい。さらに、米国の会社が配当の1.5倍くらい行っている「自社株買い」の分(年39万円くらい)も入れると、株主への還元は年100万円くらいになりました。
見えない配当の計算式
計算はシンプルです。
見えない配当(年) ≒ 投資信託の評価額 × 指数の配当利回り × 約0.9
- 指数の配当利回り:オルカンなら「MSCI ACWI」、S&P500なら「S&P500」という指数の、配当利回り
- ×0.9:海外の会社の配当は、ファンドが受け取るときに現地の国で税金が引かれるので、ざっくり1割引いています(国によって違います)
指数の配当利回りは「全銘柄の加重平均」
指数の配当利回りは、全銘柄の配当の合計 ÷ 全銘柄の時価総額の合計で計算されています。これは、各銘柄の配当利回りを、時価総額の比率で加重平均したものと同じです。オルカンもS&P500も時価総額の比率で株を持っているので、評価額 × 指数の配当利回りで、ファンドの中に入ってくる配当の目安になります。
何千もの銘柄を自分で計算する必要はありません。指数を作っている会社(MSCIなど)が、毎月公表しています。
| 指数 | 配当利回り | 出どころ |
|---|---|---|
| MSCI ACWI(オルカン) | 1.58% | MSCIのファクトシート。1年分の配当 ÷ 2026年9月末の株価(2,414銘柄) |
| MSCI World(先進国) | 1.52% | 同上 |
| S&P500 | 約1.0% | 直近12か月の配当 ÷ 株価(民間の集計) |
(MSCI ACWI Index Factsheet / ChartRow)
私の投資信託で計算してみた
マネーフォワードに出ている投資信託を、中身の指数ごとにまとめて計算しました(2026年10月時点)。
| 中身 | 評価額 | 配当利回り | 見えない配当(年) |
|---|---|---|---|
| 全世界株式(オルカンなど) | 約1,512万円 | 1.58% | 約21.5万円 |
| 先進国株式 | 約268万円 | 1.52% | 約3.7万円 |
| 米国株式(S&P500など) | 約1,333万円 | 約1.0% | 約12.5万円 |
| 合計 | 約3,113万円 | 約37.7万円 |
純粋な配当(年25万円くらい)と合わせると、実質の配当は年63万円くらい。配当管理アプリに出ている数字の、約2.5倍でした。月にすると5万円ちょっとです。
思ったより少ない…のはなぜ?
正直、計算してみて「少ない」と思いました。オルカンの配当利回り1.58%は、日本の高配当株(3〜4%)と比べるとかなり低いです。理由は、比率の大きい会社ほど配当が少ないからです。
| オルカンの上位5社 | オルカンの中の比率 |
|---|---|
| エヌビディア | 5.11% |
| アップル | 4.76% |
| マイクロソフト | 3.52% |
| アマゾン | 2.35% |
| アルファベット(A株) | 1.97% |
上位10社だけでオルカンの約25%を占めていて、そのほとんどが米国の大型テック企業です。こうした会社の配当利回りは0〜1%未満で、アマゾンは配当を出していません。比率が大きい会社の配当が少ないので、全体の平均が下がります。米国の会社が、全体の約64%を占めていることも大きいです(MSCIのファクトシートより)。
配当のかわりに「自社株買い」で還元している
米国の会社は、配当のほかに自社株買いで株主にお金を返しています。たまたま多い年だけを見ないように、S&P500の会社が1年間に使った金額を、公式の発表で7年分集めました。
| 年 | 配当 | 自社株買い | 自社株買い÷配当 |
|---|---|---|---|
| 2019年 | 4,855億ドル | 7,287億ドル | 1.50倍 |
| 2020年 | 4,832億ドル | 5,198億ドル | 1.08倍 |
| 2021年 | 5,112億ドル | 8,817億ドル | 1.72倍 |
| 2022年 | 5,646億ドル | 9,227億ドル | 1.63倍 |
| 2023年 | 5,882億ドル | 7,952億ドル | 1.35倍 |
| 2024年 | 6,296億ドル | 9,425億ドル | 1.50倍 |
| 2024年10月〜2025年9月 | 6,649億ドル | 1兆200億ドル | 1.53倍 |
(S&P Dow Jones Indicesの発表などより。2022年の配当はFirst Trustの集計)
どの年も、自社株買いのほうが配当より多いという結果でした。ならすと、自社株買いは配当の1.5倍くらいです。
ただ、2020年だけは1.08倍まで下がっています。コロナで業績が不安になった年に、配当はほぼそのまま(前年比−0.5%)なのに、自社株買いは約3割も減りました。自社株買いは、やめやすいことがよくわかります。
自社株買いで、なぜオルカンの価値が上がるのか
- 会社が自分の会社の株を買って消すと、発行している株の数が減る
- 会社の利益が同じでも、1株あたりの利益が増える(ピザを8人で分けていたのが7人になるイメージ)
- 1株の価値が上がり、株価が上がりやすくなる
- その株を持っているオルカンの基準価額が上がる
配当のように現金では来ませんが、株の価値として受け取っているということです。
米国の会社が自社株買いを好む理由
- やめやすい:配当を減らすと「業績が悪いのか」と株価が大きく下がる。自社株買いは、業績が悪い年に止めても目立たない
- 株主の税金が後回しになる:配当はもらうたびに課税されるが、自社株買いで株価が上がった分は、売るまで税金がかからない
- 経営者の報酬:報酬が株価や1株あたり利益と連動していることが多く、自社株買いはその両方を押し上げる
最近は、日本の会社も自社株買いを増やしています。
私の分も計算してみました。S&P500だけでなく、オルカンの中身の約64%、先進国株式の中身の約77%も米国株です(MSCIの資料より)。全部合わせると、私が持っている米国株は約2,510万円分。これに配当利回り約1.0%と1.5倍をかけると、自社株買いで年39万円くらいを、株の値上がりの形で受け取っている計算です(米国以外の会社の自社株買いは入れていません)。自社株買いは年によって変わるので、目安くらいに見ています。
投資信託全体から見ると、利回りは約2.5%
| 金額(年) | 投資信託(約3,113万円)に対して | |
|---|---|---|
| 見えない配当 | 約37.7万円 | 約1.2% |
| 自社株買い(米国株の分) | 約39万円 | 約1.3% |
| 合計 | 約77万円 | 約2.5% |
FIREの目安の「4%ルール」(毎年、資産の4%を取り崩す)でいうと、4%のうち約2.5%ぶんは、配当と自社株買いで毎年生まれていることになります。
見えない配当は、税金を引かれずに再投資されている
見えない配当には、いいところもあります。課税口座でふつうに配当をもらうと、約20%の税金が引かれてから口座に入ります。投資信託の中の配当は、日本の税金を引かれずに、そのまま再投資されます(現地の税金は引かれます)。
配当金としては見えなくても、基準価額の値上がりの中に、配当も自社株買いも全部入っている。そう考えると、配当アプリの数字が少なくても気にならなくなりました。
ポイ娘のひとこと:計算してみると、思っていたより少ないのが正直な感想です。ただ、配当アプリに出ている25万円よりは、実際にはずっと多くの還元を受け取っていることがわかりました。資産全体の推移は純資産の推移で記録しています。
まとめ
- オルカンやS&P500は無配当でも、中の会社の配当はファンドの中で再投資されている
- 見えない配当 ≒ 評価額 × 指数の配当利回り × 約0.9。オルカンは1.58%、S&P500は約1.0%
- 私の投資信託約3,100万円だと、見えない配当は年37.7万円くらい。純粋な配当と合わせて年63万円くらい
- 米国の会社は、配当の1.5倍くらいを自社株買いで還元(2019〜2025年)。それも入れると、年100万円くらい
- 利回りが低いのは、比率の大きい米国テック企業の配当が少ないから。そのぶん自社株買いで還元している
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※本記事は情報提供を目的としており、投資・金融商品の購入を勧誘するものではありません。最終的な判断はご自身の責任のもとで行ってください。